手間をかけて廃棄していたアセビを地域資源に。適切な森林維持管理の新たなモデルケースを目指す
「美しく、うつろう四季と暮らす。」をコンセプトに掲げるECサイト「SiKiTO(シキト)」を運営する株式会社TRINUS(トリナス)(本社:東京都世⽥⾕区)は、⿊滝村森林組合(奈良県吉野郡)と提携し、これまで森林で捨てられていたアセビの切り枝を、SiKiTOの注力サービス「枝もの定期便」の商品として活⽤する取り組みを開始いたします。
実施の背景
季節の切り枝が自宅に届く「枝もの定期便」では、森林に自生する樹木の切り枝(アセビやドウダンツツジ等)を扱っています。2022年3月のサービス開始から急激な成長とともにニーズが拡大する⼀⽅で、切り枝の供給量は減少傾向にあり、今後の安定的な仕⼊れは大きな課題となっています。
そこでTRINUSはAgVenture Labが運営するJAアクセラレーター支援のもと、アセビの豊富な⾃⽣地である奈良県内の森林組合にアプローチ。⿊滝村森林組合と出会いました。
⿊滝村森林組合では豊かな森林を次世代に残すため、村内の森林整備事業を⾏っています。⿊滝村森林組合が管理する森林におけるアセビの⾃⽣状況をTRINUSと共同で調査したところ、観賞⽤切り枝として出荷可能な品質のアセビの群生が確認されました。
通常の林業ではアセビのような低⽊は不要とされ、「下草刈り」として刈られて廃棄されるのが⼀般的です。
本取り組みではこれまで捨てられてきたアセビを切り枝として積極的に収穫し、SiKiTOが運営する「枝もの定期便」で活⽤するものです。
本取り組みの流れ
⿊滝村森林組合が定期的に森林に⼊り、SiKiTOの品質規格に合致するアセビを選定・収穫します。
収穫後、切り花の取扱⾼全国2位の「なにわ花いちば」の物流網を利⽤し、黒滝村からSiKiTOの物流拠点(東京・⼤⽥区)まで輸送します。SiKITOでは、届いたアセビの品質確認・⽔揚げ・梱包をした後、全国の枝もの定期便ユーザーのもとへお届けします。
本取り組みの意義
『伐採作業のジャマもの』『木材の成長を妨げる存在』と、これまでは価値が見出されず手間をかけて処分していた下草が新たな地域資源として収入源になることで、森林組合の経営にとって⼤きなプラスとなり、地域の雇⽤創出が見込まれます。
さらに、このような取り組みを通じて⼭や森林が適切に維持管理されることによって、土砂災害の防⽌、⽣物多様性の保全、⼆酸化炭素の吸収など環境課題への貢献につなげていくことも目的のひとつです。
関係者からのコメント
山採りの枝ものは、その人気の高まりに伴い品薄の状況が続いております。しかしながら、日本の森林にはまだまだ探求の余地があります。この度、皆様の温かいご支持を背景に、黒滝村森林組合というパートナーと出会えたことに、心から感謝申し上げます。お客様のもとへ、この地で育った自然の恵みを届けることが楽しみです。
黒滝村森林組合 参事 的場真一
山の中で今まで見過ごされてきた花木(アセビ)が、新しい空間で人々の心を和ませてくれる存在へと生まれ変わる事は、私たちにとって新しい林業分野への大きな第一歩・チャレンジへとつながります。
一般社団法人 AgVenture Lab 代表理事理事長 荻野浩輝
四季の移り変わりを楽しむことは、日本古来の穏やかな喜びであり、日本文化の源です。加えて、森林を維持管理することは、景観の向上、災害の防止など環境保護に貢献します。そして、無価値だったものに新しい価値を与えることの素晴らしさ。利用者に喜びを与え、環境を保護し、一次産業に新たな収益源をもたらす、「SiKiTO」とトリナスを今後も応援していきます。
黒滝村森林組合について
【黒滝村森林組合】https://www.k-shinrin.jp/